7N4UZD徳光氏の「第一級陸上特殊無線技士受験体験記」

7N4UZD徳光氏の「第一級陸上特殊無線技士受験体験記」


はじめに

2003年2月6日に行われた無線従事者国家試験の第一級陸上特殊無線技士(以下一陸特の場合あり)を学校の公欠をとってまでも受験したので、そのメモを紹介したいと思います。この資格は無線従事者のプロ資格で、入門資格といわれています。ちなみにこの資格を受験した時は高専の3年、専門は電子工学です。

第一級陸上特殊無線技士ってどんなことができるの?

本当は一陸特の操作範囲を細かく紹介したかったのですが、一陸特は二陸特、三陸特の操作範囲を含んでしまい量が増えるので概略だけを紹介したいと思います。一陸特は、「陸上の無線局(空中線電力500W以下)の多重無線設備(多重通信を行うことができる無線設備で、テレビジョンとして使用するものを含む。)で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作」ができる資格です。

一陸特で注意をしなければならないことは、テレビ放送業務周波数での操作はできないということです。(ここ参照)したがって、テレビ放送局に勤めたいような方は陸上無線技術士を取得しなければなりません。しかしテレビ放送業務周波数以外での公共性が低い周波数帯では操作が行えるので一陸特を取得して衛星通信を行ったりすることが現場ではあるそうです。このことにいては前述のリンクに詳しく書かれています。

なぜ第一級陸上特殊無線技士を受験したのか?

僕が将来的に進みたい分野はウェブサービスのシステム構築を行ったり、OSのアプリケーションの開発を行うソフトウェアの世界です。それでは何故一陸特を受験したか?それはこの資格を取得すると外部単位認定制度というものが学校にはあるため、2単位取得することができるからです。そして、3年生でもまれに取得する人がいるそうなので、そうなってやろうじゃないか、という野望のもと受験しました。(なんでもここ最近はいなかったそうです)

公欠をとってまで受験することを決意したので、落ちたくはありませんでした。 また、勉強するのは嫌ですからね、といっても一陸特の勉強は他の電気、電子の資格を受験する時の土台になるのはいうまでもありませんが。

どんな勉強をしたのかについて

試験は2月6日でした。本格的な勉強を始めたのは、1月に入ってからです。1月19日には第三級アマチュア無線技士の講習会を受講する予定だったので、1月12日から18日の間はまとまった勉強はしていません。勉強は主に学校への行帰りの電車の中(通学に1時間30分)と家に帰ってから1時間から3時間勉強をしました。本格的な勉強を始めたのは1月19日を過ぎてからだと思います。試験のおそよ2週間前です。

参考書はbk1で注文をしました。本屋に買いに行こうと思いましたが、地元の本屋にはなく遠くへ買いに行く時間がなかったので、オンラインで注文をしました。予想以上に届くまで時間がかかり、焦りました。ところで、世間一般的に1アマより一陸特のほうが難しい、と様々なサイトで書かれています。なのでそれまでは1アマ向けの参考書と、問題集で勉強をしていました。しかし、本が届いてからわかったことですが、個人的には一陸特のほうが簡単でした。本当に簡単です。

無線工学と法規は参考書とその参考書に紹介されている練習問題を練習をしました。参考書は『一陸特集中ゼミ 吉川 忠久著 東京電機大学出版局 3000円』です。最初から、最後までこの本一冊をメインに勉強をしました。電機通信振興会が販売している一陸特の問題集も購入しましたが、前日に一夜漬けで勉強をしたくらいです。この参考書のはじめに「実際に出題された問題、今後出題が予想される問題で練習問題を構成した」と書かれています。

最初、この言葉に対して懐疑的でした。(それなので問題集を購入したのです)ふたを開けてみるとスケジュールを組むのが悪く、問題集をこなす時間がなく、直前までこの本の練習問題が本番に出題されることを信じて勉強を続けました。驚くことに実際の国家試験の問題はこの本に紹介されていた問題から修正が加えられた問題がほとんどでした。問題集をこなしていれば、完璧でしょう。

この本は説明が簡潔に紹介されています。部分によっては他の参考書が必要になる場合があるかも知れません。僕は個人的にお勧めの本として紹介をしておきます。

第一級陸上特殊無線技士の合格基準

日本無線協会のウェブサイトに紹介されていますが、試験時間は3時間です。法規と工学は同時に行います。どちらからも始められます。無線工学は24問中15問以上の正解、法規は12問中8問以上の正解で、かつそれぞれの科目で合格基準に達していれば合格です。工学は9問不正解になっても合格をします。9問も間違えてもいいんです、心待ちは割と楽にできるのではないでしょうか。ちなみに合格率は30%程度だそうです。

一陸特と1アマとの問題の比較について

前述の通り世間一般的には一陸特のほうが1アマより難しいと紹介されているサイトがほとんどです。しかし、一陸特の問題は1アマより難しいことはありません。基本を押さえて、過去問を使って練習をしていれば問題はないでしょう。その点、1アマは電気回路、アンテナ等の動作は一陸特より難しいことを聞いていると僕は思います。計算問題も1アマのほうが基本的には面倒だと思います。

一陸特より1アマのほうが難しいと紹介されるのはアマチュア無線をやっていて、アマチュア資格を取得している人がアマチュア無線技士の先入観で一陸特の勉強をした時に受ける印象ではないかと思います。一陸特と1アマでは聞いてくる問題が異なります。(要求されることが違うのでしょう)一陸特の問題は主に、デジタル変調、マイクロ波、衛星に関するものが多いです。1アマの延長だと思って勉強をしていた僕は、参考書が届いて口がふさがりませんでした。

例によって、一陸特の問題は過去の問題を修正して、再度出題されているのがほとんだと考えられます。出題されている問題は似たようなもの、もしくは類似の問題が必ず問題集、参考書に書かれています。しかし、僕が受験した時には問題集では見たことがない新問題らしきものが4問ほどあり、見たことがなーい、と焦りました。けれど、しっかりと勉強をしていればほとんどの場合対応することができるはずです。

余談になりますが、日常的に衛星通信、デジタル通信、 マイクロ波を勉強をしている熱心なアマチュア無線家は一陸特の勉強で難しく感じることはないと思います。一陸特で出題される問題は、これらの方たちにとってみればアマチュア局を運用するにあたって必要な知識ばかりだと思います。

国家試験の当日について

国家試験当日は平日だったので事前に公欠をとって、学校を休みました。僕の試験は午後です。朝は6:30に起きましたが、二度寝をしてしまいました。再び起きたのは7:30です。起きてから前日までこなしていた問題集を復習し、そして、残りの電波伝播と測定、電源を残すところまできました。ここで書いた通り、当日になっても問題集が終わらなかったのです。(笑)しかし、一通りやっておかないと気が済まない主義なので、すべて終わるかは抜きとして問題を解くことを続けました。

午前10:30になり試験開始時刻のPM1:00に遅刻をするとおじゃんなので、家に出ることにしました。試験会場は日本無線協会国家試験センターです。試験会場に到着すると大学生らしき人、会社を有休で休んで一陸特を受けに来ている社会人のおじさん!?がたくさんいました。

まだ、午前の試験が行われたいたので一陸特集中ゼミをぱらぱら読みながら廊下で待機していました。 なんか、やることはもうやり尽くした、という一言で言い表せる状態だったので、特にこれ以上やることが思い付きませんでした。まぁ、勉強したことの確認って辺りで終わらして入室をしました。日本無線協会は4アマ以来でした。

試験は聞き飽きた台詞をいわれ、試験の問題が配られました。そして、1:00ピッタリ当たり試験が開始されました。最初は問題全体をぱらぱらと眺めました。見たことがない問題が法規で二問、無線工学で4問ありました。法規は今まで勉強してきた経験から、選択肢をマークしました。まぁ、4問まで落しても大丈夫なので2問くらいのミスは大丈夫でしょう。

問題の工学ですが、既出ではないと思われる問題が4問ほどありました。その中の、2問はまったく適当な解答が浮かばなかったのでそれらしきものにマークをしておきました。残りの二問はなんとなーくわかったので適当にマークをしておきました。それでもあと5問も落とせるのだから、大丈夫だろうと思いました。

一番気掛かりだったのは計算問題でしょう。計算問題は点取りなので、計算を間違えていないことを祈ります。法規と工学を一通りやってから、計算問題を片付けました。その後、2、3回見直してから提出をして退出しました。

自己採点をしてみよう!

試験中に問題用紙に答えをチェックしておいたいので、試験会場をでて早速参考書を片手に自己採点をしてみました。まず最初に法規のチェックをしてみましたどうやら、12問全問正解をしたようです。法規のほうは一安心でした。次に、問題の工学です。少なくとも怪しいのが4問です。でも、そのうちの2問は解いたことがない問題ということで数に入れているだけですので、正解をしているとは思います。実質本気で不明だったのは2問です。

その後、解答が公開されましたが間違っていた問題は新問ではなく、過去問からの問題でした。まさか正解をしているとは思ってもいなかったので、嬉しく思いました。自己採点を改めてしてみましたが、工学の正解は22問、法規は12問でした。あとは、合格通知を待つだけのようです。

第一級陸上特殊無線技士の試験を終えて

第三級アマチュア無線技士が一陸特の試験の前にあったので、正直いって大変でした。電車の中で勉強する時間がなかったら、この試験は間違いなく落ちていたことだと思います。また、工学実験のレポートが早々に片付いてくれたことも、この試験に合格した要因の一つと思っています。実験があったらとてもじゃありませんが、こちらの勉強には手は回りません。

国歌試験が終わっても再び一陸特の本が読みたくなる時があります。気が向いた時でも少しずつでも勉強をして、他の無線従事者の資格、工事担任者の資格に勉強した知識を生かせればと思います。

2月26日、合格通知が届きました。「合格」と書かれていました。これでやっと試験が終わった気がします。

wrote 2003/02/26


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