竹内 広至氏 『プランを立てた 科目合格』

第一級総合無線通信士・第一級陸上無線技術士を合格された方の体験記です。


  1. 始めに
    私は現在名古屋工学院専門学校電波通信研究科に在学中です。平成9年3月期の第1級総合無線通信士(一総通)国家試験で合格通知を手にすることが出来ました。本誌に登場される方々は一陸技合格の人が圧倒的に多いことから、一総通受験の参考にして頂ければと、執筆することにしました。
  2. 無線との出会い
    小学生の頃、家でよくラジオを聞いていました。今もそうなのですが私は音楽が好きで音質のよいFM放送を中心に聞いていました。そんなある日、ふとした弾みで机上のラジオが床に落ち、ロッド・アンテナが折れてしまったのです。修理方法に迷ったあげく、ロッド・アンテナを細かく折り、それらを電線で束ねて電線のもう一端をラジオのアンテナ端子にネジ止めしたのです。すると、ラジオのシグナルメータが以前より大きく振れ、不思議な感動を味わいました。これが無線に興味を持つ発端になり、それ以後雑誌を見てゲルマニウムラジオを組み立てたりしました。
    しかし、それ以後、四アマを受験するまでは、無線に関する興味はいつしか頭中から消え去っていました。

    四アマを受験したのは、既に高校の普通科を卒業し、省力機械メーカーに勤務し、毎日シーケンスプログラムの設計、機械調整などをしていた頃でした。四アマを受験した時、既に欧文モールス符号を覚えていたことも手伝って、その年度中に四〜二アマを一気に取得することが出来ました。

    今度は一アマ受験、と思ったのですが、和文モールス符号を覚えるのに手こずり二アマ合格から1年半後にやっと一アマを取得しました。その頃からプロの資格にも興味を持つようになり、第一級陸上無線技術士(一陸技)の予備試験(現在の「無線工学の基礎」)と法規に科目合格したことを機に、多大な希望から現在の学校に入学することを決め、最終的に一総通をめざす目標を立てました。

  3. 一陸技・二総通めざして
    専門学校には二総通の「予備試験(現在の「無線工学の基礎」)」、「英語」、「電気通信術」の卒業による科目免除の制度があります。もし7月期の一陸技の工学A(無線機器などの科目)・工学B(アンテナなどの科目)に合格出来れば、二総通はあと地理、法規だけを受験すればよいことになります(一陸技を取得したことによる科目免除)。そのために一陸技の工学A・Bを受験しました。工学Aの方はそれなりに解答出来て何とか合格したのですが、工学Bは数式の解答が今一歩だったこと、工学Aで覚えたはずの「ゴーストの生成原因」が工学Bで出題され、解答不十分だったことなどから不合格となってしまいました。

    次の一陸技試験まで、まだ時間がたっぷりあり、また、二総通だけは確実に「卒業により科目免除、取得」の状態にしなくてはなりません。8月の始めにそう決意し、一陸技工学Bの失敗をふまえて、二総通の工学A・B、法規の勉強に取りかかりました。「なぜ、そうなるのか」と常に考えながら既出問題を自分なりに解答できるように口でブツブツ言いながら書いて覚えました。その甲斐あって、9月期(専門学校 一年次の9月)の二総通は工学A、工学B、法規、地理に科目合格(卒業による科目免除、取得待ち)することが出来ました。

    残る一陸技の工学Bの対策として振興会(財団法人 電気通信振興会)発行の、「空中線系及び電波伝搬」を購入、既出問題集では省略されている、途中の計算過程を一切省略することなく勉強し、一陸技合格を果たしました。

  4. 一総通の地理、法規の受験
    一陸技の次は最終目標の一総通合格です。次の3月期(専門学校 一年次の3月)には地理、法規を取ることに決めました。ちょうどその頃私は、電波通信研究科(専門学校の3年生)への進学も決めていました。研究科を卒業すれば一総通の「無線工学の基礎」、「英語」、「電気通信術」が免除になります。しかし、一総通は私の最終目標なので、学校の力を借りずに、自力で合格してやろうと思っていました。

    一総通の地理対策として、まずは日本と世界の白地図、色ペン、振興会の「通信交通地理」の本を用意しました。地理の出題では、海岸局はマル、無線測位局と我が国の寄港地はサンカク、日本の開港はバツと記号が分かれています。海岸局、無線測位局、・・・と各白地図に区分けし、色ペンで記号を記入し、問題と解答とをそれぞれ作成して、記号だけを見て解答が出来ればOK!というふうにしました。世界地図ではスペルが欧文ですが、通信交通地理の本を参照してカタカナに直して覚えました。日本地理に関して言えば、二総通と一総通では出題傾向が異なるので、過去の問題をよく調べておくと良いと思います。

    法規では、一総通の国内法規の出題範囲は二総通の範囲と重なっている箇所が多くありますが、国際法規では、異なっている傾向があるようです。

    国内法規を学ぶ上で意識したのは、無線局の免許取得の流れ、規定が従事者に関することか無線局に関することかの区別、どのような場合や場面の呼出しや応答なのか、問題中に周波数範囲がある場合その範囲は何の通信に許可されているか、などです。

    国際法規で意識したのは、前述のように、周波数範囲の指定のある場合の規定、緊急信号や警急信号などの一見紛らわしい言葉に注意する、などです。試験が選択式に変わってから、国際電気通信連合憲章の様々な規定が出題されているようなので、よく目を通しておくと良い対策になると思います。法規は「どのような場合、何を、どうするのか」が頭の中で整理されているのが大切だと思います。

  5. 英語の合格、通信術の失敗
    専門学校も二年次になり、9月期の英語、電気通信術に取り組み始めました。今から思えば、試験方式が選択式に変わった恩恵により何とか英語に合格したに違いありません。それほど私は英語がダメなのです。
    英語の試験は英会話(Qに対するAを択一)と英語(時事英語、無線通信規則のそれぞれの文に対するQとA、英作文)があります。英会話対策として、振興会の「英会話練習テープ」を使いました。英会話では、一般的な船舶の常識なども出題されているので理解しておきました。時事英語と英会話対策には旺文社の豆単、豆熟を使用しました。英作文の穴埋めには、「豆熟」が良いようです。そして、簡単な英文法や英作文を明日香出版社(アスカ)の本を参考にして学びました。業務英語は振興会のExcerptaとその訳注版を使用。GMDSS関連、ディジタル選択呼出し、その他呼出・応答に関するものがよく出題されるようなので、それら文中の頻出単語を覚え、あとは国際法規の知識で解答することが出来ました。
    英語はかろうじて合格できたものの、電気通信術はモールス受信がダメで、不合格でした。
  6. 念願の電気通信術合格
    かつて私は無線の受験で、受験科目全部が不合格だったという経験はなく、次回は(電気通信術の科目だけ受験するので)合格できるのでは!?と頭の中で考えながら、3月期(専門学校 二年次の3月)に向けて、電気通信術一科目だけの取り組みを始めました。実は、前の9月期に同じクラスのK君は電気通信術に合格していたので、K君のやり方などを参考にして、自分なりに通信術の練習方法を考えました。(K君は一総通を取得後、現在KDDに勤務しています。)

    モールス送信については、符号の速さをつかむために、振興会の和文毎分75字、欧文普通語毎分100字・暗語毎分80字のテープを使って、あらかじめ受信しておいた内容を見ながら、テープ再生音にあわせて縦振り電鍵で送信練習をしました。

    かつて合格していないモールス受信に向けての取り組みが合格の決め手になったわけですが、欧文の取り組みでは、まず、英習罫のノートを買い込み、今一度、受信の筆記体の書体を自分なりにチェックしました。すると、筆記体では「d」が「c l」(シーとエル)にわかれてしまったり、「b」と「f」を区別しやすくするためには、「f」を長めに書いたほうがよいことなどが分かったので、書体をきれいにして品位点をかせぐことと、加えて、早く書く意味を含めて、英習罫のノートに受信練習しました。

    欧文受信時には、鉛筆の先を見るのではなく、次の字を書く所(現在筆記している右側の白紙部分)を見るようにしました。こうすることで、筆記中の字にこだわらず、「次に進む」という間隔をつかむのです。和文受信の場合には、次の字を書く所は、筆記中の字の手前の空白マスなので、ここを見るようにします。

    モールス受信時の符号の意識ですが、和文の場合、ワード間のスペースがないので、一息ついた聞こえかたがなく、「符号がすべてつながっているように聞こえてしまう」ことがあります。この対策として、各符号の始まりではなく、各符号どおしの「ツー」一つ分のスペースを意識して聞くようにします。こうすると符号が分かれて聞き取れるので、あとは、前述の「できるだけ無意識にした筆記」に組み合わせ、それに慣れることです。この意識の仕方は、欧文の場合も同様です。

    うわさですが、モールス受信の採点は、和文と欧文普通語と欧文暗語の点数を加えて3で割って、規定の点数以上で合格、と耳にしました。
    ついに受験日が来ました。モールス受信の試験では、和文と欧文暗語はパーフェクトにするつもりでよく集中して聞き、訂正も少なく受信できました。この好調な受信により、一総通の合格通知を手にすることができました。

  7. 最後に
    一総通の受験は、良い経験になりました。一総通合格は一陸技合格の時より嬉しいものです。これは受験科目の多さ、困難さがあるからでしょう。合格とともに、今一度、今までのことを学び直す必要も強く感じています。通信士をめざす皆さんのご健闘をお祈りします。がんばってください。
  8. 私の受験歴
    平成4年6月  四アマ取得
    同 10月  三アマ取得
    同 12月  二アマ取得
    平成5年7月  二陸特取得
    同 11月  一陸特取得

平成6年5月  一アマ取得

同 12月  一陸技予備試験合格

平成7年1月  一陸技法規合格

同  4月  国内電信特取得

同  7月  一陸技無線工学A合格

同  9月  二総通無線工学A、無線工学B、法規、地理合格(二総通卒業免除待ち)

平成8年1月  一陸技合格

同  3月  一総通法規、地理合格

同  9月  一総通英語合格

平成9年3月  二総通卒業免除により取得

同  3月  一総通合格

9.受験のための参考書等

1・2陸技  全科目用
『合格精選300題  一陸技 試験問題集』        東京電機大学出版局
『合格精選300題  二陸技 試験問題集』           同   上

無線工学の基礎(1陸技、2陸技、1総通、2総通)
『1・2陸技 1・2総通の徹底研究 無線工学の基礎』  東京電機大学出版局
『2陸技 1・2総通受験教室 無線工学の基礎』      同   上
『2陸技 1・2総通受験教室 無線工学の基礎』      同   上
無線工学A(1陸技、2陸技、1総通、2総通)
『2陸技 1・2総通受験教室 無線工学A』                    東京電機大学出版局
『1・2陸技 1総通の徹底研究 無線工学A』                         同   上
『テキストブック 無線通信機器』                             日本理工出版会
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級 総合・海上無線通信士 無線工学編』  電気通信振興会
『無線従事者国家試験問題解答集 第二級 総合・海上無線通信士 無線工学編』    同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級 陸上無線技術士』                同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第二級 陸上無線技術士』                同   上

無線工学B(1陸技、2陸技、1総通、2総通)
『2陸技 1・2総通受験教室� 無線工学B』  東京電機大学出版局
『1・2陸技 1総通の徹底研究 無線工学B』     同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級 総合・海上無線通信士 無線工学編』  電気通信振興会
『無線従事者国家試験問題解答集 第二級 総合・海上無線通信士 無線工学編』    同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級 陸上無線技術士』                同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第二級 陸上無線技術士』                同   上
『空中線系及び電波伝搬』                                   同   上

法規(1陸技、2陸技、1総通、2総通)
『2陸技 1・2総通受験教室 電波法規』          東京電機大学出版局
『1・2陸技の徹底研究 電波法規』                   同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級 陸上無線技術士』   電気通信振興会
『無線従事者国家試験問題解答集 第二級 陸上無線技術士』     同   上
『教育用 電波法令集』                          同   上
『陸上無線技術士用 電波法規の答え方』               同   上
『無線通信士受験用 電波法規』                     同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級・第二級 総合・海上無線通信士
法規、英語、地理編』     同   上
『学習用 国際電波法規』                         同   上

地理(1総通、2総通)
『新版 通信交通地理』                        電気通信振興会
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級・第二級 総合・海上無線通信士
法規、英語、地理編』     同   上

英語(1総通、2総通)
『Excerpta from International Telecommunication Convention
and Radio Regulations』                   電気通信振興会
『無線通信業務用英語』(上記の訳注版)               同   上
『無線英語総合教本』                           同   上
『1総通・2総通・航空通用 英会話練習用テープ』          同   上
『無線従事者国家試験問題解答集 第一級・第二級 総合・海上無線通信士
法規、英語、地理編』      同   上
『海事概要  海と船の常識』                      成山堂書店

電気通信術(1総通、2総通)
『無線電話受信練習用録音テープ 和文』              電気通信振興会
『無線電話受信練習用録音テープ 欧文』                同   上
『モールス通信練習用録音テープ 第1・2級総合無線通信士』    同   上


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