岡田 聡敏氏 『始めなければ始まらない!』

具体的な勉強方法や心構えなどが紹介された体験記です。


表題:始めなければ始まらない!
岡田 聡敏氏

  1. 電波との出会い
    今から25年ほど前になるでしょうか、大晦日にNHKで放映される「ゆく年くる年」で、アマチュア無線の交信の様子が流れました。記憶が定かではないのですが、東京のスタジオ内に仮設された無線機を前に、「あけましておめでとうございます!」の挨拶を仙台のアマチュア無線家との間で交わしていたような気がします。
    その時に言葉には現せないほどの感動を覚えたことだけは、今でもしっかりと記憶しています。
    当時小学生だった私は、お年玉をかき集めたり(かき集めるほどありませんでしたが(笑))両親にねだったりして、BCLラジオ(SONY ICF-5800)を買ってもらいました。このラジオはBFOも内蔵されており、放送波はもとより業務用通信も受信することができました。内容はまったく分からないのですが、航空機や船舶からの通信を聞き、わくわくしながらその臨場感を味わっていました。
    中学生時代はこのBCLラジオを使って、海外放送に聞き入ったり、どんな電波が飛んでいるのだろうとの好奇心から、毎晩遅くまでラジオに張り付いていました。(笑)その頃、雑誌に紹介されていた中波ループアンテナの製作記事を目にし、廃材置き場からバリコンをもらってきて、セロファンテープでリード線を付け(笑)(半田ごてを買うお金は無かったので)ループアンテナを作り上げました。見栄えは決して良くなかったのですが、夕方かすかに聞こえてきた新潟放送を横浜市の自室で受信し、バリコンを回した途端に強力に受信できたときの興奮といったらありませんでした!
    こうして中学校卒業まで学校の勉強もそっちのけで(笑)、BCLにのめり込むことになりました。
    今思えば、散々わがままを言って、このBCLラジオを買ってもらえたことが私の人生を方向付けたと思います。
  2. 交信してみたい!
    高校進学に際して水産高校の通信科に行きたいと両親に言ったところ猛反対されました。結局、普通科高校に進学しましたが、高校時代は野球部に所属していたため、しばらくの間は電波を思い起こすことはありませんでした。
    高校卒業と同時に就職し、しばらくの間は精神的にも時間的にも余裕が無かったのですが、20代の半ば頃ふとしたことから電波への思いが再燃しました。
    そこで私は電話級アマチュア無線技術士の受験を決意し、本屋に行って問題集を購入しましたが、ほとんど理解できない内容で大変なことになったぞと青くなったものでした。
    しかし大好きな電波の勉強ですから理解もそれなりに早く、何とか合格することができました。
    その後モールス符号を見よう見まねで覚え、平成2年に第2級アマチュア無線技士、平成8年に第1級アマチュア無線技士に合格することができ、思う存分交信を堪能しました。
  3. 始めなければ始まらない!
    このようにアマチュア無線を楽しんでいたころ、本屋で「1陸技」の文字が目に入りました。
    1技や1通は知っているけれど、何の資格だろう?との思いで、その本を手にとってみました。
    よく読んで見ると旧1技のことらしい。受験だけでもしてみようかと思い、問題集を購入して帰りました。
    この日から第1級陸上無線技術士取得に向けた勉強が始まりました。
  4. 私の勉強方法
    結果的に本屋での「1陸技」の文字との出会いから、2回の受験で合格することができました。
    以下、私が行った勉強方法について書いてみます。拙い経験ではありますが、これから受験を考えている方に少しでも役に立てばと思います。
    勉強の中身というよりは、勉強方法や心構えを中心に書いてみます。
    (1) 無線工学の基礎、無線工学A、法規
    問題集により過去問を眺めてみると、過去問をしっかりと勉強することで何とか合格点に達しそうな気配でした。
    (傾向が変わらなければの話ですが(笑))そこで、無線工学の基礎に関してはTDUが出している「無線工学の基礎」(青っぽい本で問題演習もの)と電気通信振興会の問題集を、それ以外の科目については電気通信振興会の問題集のみを繰返し繰返し何回も解きました。
    問題集を何往復したかは覚えていませんが、延べ問題数は受験を思い立ってからの半年間で数千題に達したかと思います。
    ここで強調したいことは、問題集をメインに使って行う勉強では次の点を念頭におく必要があると思います。
    ・ 「問題文そのものから知識を得る」
    例えば「次のうち誤っているものはどれか」という問題があれば、5つの選択肢のうち4つは正しいことを言っているわけです。
    誤っているものは何故誤っているのかを調べることは勿論ですが、正しい選択肢をそのまま知識として取り込んでしまうことが大切であると思います。単純な考え方かもしれませんが5つの選択肢があれば最低限5つ以上の知識を得ることができるということです。
    ・ 「解説部分から学ぶ」
    どのような問題集でも一緒ですが、解説部分が充実した問題集はそれだけで立派な参考書になると思います。
    解説部分をしっかり読んで理解することは勿論ですが、解説部分を自分なりに問題として作り直して理解を深めることも有効な方法です。
    また私は、解説部分の重要なキーワードや公式の暗記のために、暗記チェックペン(赤いペンと緑のシートの代物)を使いました。
    余談ですが問題演習にあたっては、ボールペンと安価なコピー用紙を使いました。それは勉強量が目に見えるので、励みになるからという理由からです。紙が増えてボールペンのインクが減っていくのを見て元気付けられました。
    こうして1回目の受験で無線工学の基礎、無線工学A、法規に合格することができました。
    (2) 無線工学B
    「無線工学のBは難しい」、「無線工学Bだけ残っている」という言葉をよく耳にしますが、もしもそのような考えにとらわれていたら、そういった先入観をまず捨て去ることが先決です。生意気なことを書きますが難しい難しいと思っていることは、潜在意識に壁を作ってしまうことになり、学習の妨げになるような気がします。
    エジソンは電球を発明する過程で「必ずできる!」という信念を終始貫いたということです。
    このような考えを受け入れることに損はないと思います。
    話が脱線しましたが、第1回目の試験では工学Bについての勉強はほとんどしなかったため、それは試験結果に如実に表れました。

    自力で解けた問題が1割程度、勘で当たったのが2割程度で、合計3割程度しか得点できませんでした。
    「勉強しなかったから当たり前の結果」とさばさばしていた感じがします。
    空中線や電波伝搬には興味があったので基礎から勉強しなおそうと思い、電気通信振興会の「アンテナ及び電波の伝わり方」を購入しました。この本は2通レベル対応とのことですが、1陸技の試験勉強にも大変役立ちましたし、実務でも役立っています。これ1冊で1陸技の工学Bを網羅することは難しいと思いますが、この本に救われた部分も少なからずあります。難解な数式が少なく文章と絵や図を中心に書かれているところにも好感が持てます。

    さて2回目の受験で行った工学Bの勉強方法について書いてみます。
    主に使ったものは、電気通信振興会の過去問題集、アンテナ及び電波の伝わり方です。分からない言葉が出てきたときには、職場にあった「電子工学ポケットブック」(分厚くて高価な本です。)を借りてきて調べました。しかしこの本がなくても今ではインターネット上で調べものができるのではないでしょうか。
    基本的には無線工学の基礎や工学Aのときの勉強方法と一緒で、問題集の問題文から知識を得ることと、解説部分から知識を得ることを心がけました。
    具体的にはルーズリーフノート1枚に過去問1題をまとめました。

    まずノートの上の部分数行に問題文の概要を書きます。例えば「アレーアンテナの特徴に関する次の記述のうち、誤っているものを下の番号から選べ。」という設問があるとします。この場合だと「アレーアンテナの特徴」が問題文の概要となります。

    次にその下の部分に重要事項をまとめるのですが、選択肢が5つあり設問からするとそのうちの4つは正しいことになります。これでアレーアンテナの特徴を4つまとめることができます。さらに誤った選択肢を正しい答えになおすことで、5つめの特徴を書き込むことができます。ここで「アンテナ及び電波の伝わり方」や「電子工学ポケットブック」でアレーアンテナの部分を探して、重要なキーワードや特徴、アンテナの絵などがあればルーズリーフの余白部分に書き込んだり貼り付けたりしました。

    これでアレーアンテナのオリジナル参考書の完成です。さらに前出の暗記用チェックペンで重要キーワードをマーキングしていくことで、オリジナル問題集にもなります。
    余談になりますが、もう一冊おすすめの本があります。
    これは直接試験に役立つかどうかは定かではありませんし、正確な題名も忘れてしまいましたが写真集です。
    確か「アンテナのある風景」という写真集だったと思いますが、各地のアンテナがたくさん写っています。
    写真にはアンテナ名も記されていますので、問題集に出てくるアンテナをより理解するのには大変役立ちましたし、勉強に疲れたときにアンテナの写真を眺めているとやる気が出てきました。
    オリジナル参考書(問題集)は結局150ページくらいのものが出来上がり、それを常に持ち歩いて、何度も何度も読み返しました。こうして2回目の受験で、念願の合格通知を手にすることができました。
    (3) 記述式時代の問題の活用
    ご存知のとおり平成8年以前は、記述式問題でした。
    過去の受験体験談で読んだことがあるのですが、記述式時代の問題を自分なりに選択式に作り変えたりして勉強したという方がおられました。私もそれは有効な方法だと思いましたが、それよりは記述式の解答部分をそのまま学ぶ方がより確実だと思い、記述式時代の問題も前出のオリジナル参考書に一緒にまとめ込みました。記述式時代の問題をまとめることは選択式問題にも必ず活きて来るものだと思います。

  5. 最後に
    子供の頃テレビで見たアマチュア無線の様子がきっかけとなって、電波に興味を持つようになり、1陸技取得の機会を得ることができました。仕事も電波が相手です。(笑)アマチュア無線で得た知識も1陸技取得の過程で得た知識も、職場で十分に活かすことができています。私は無線従事者として仕事についている訳ではありませんが、資格そのものではなく資格取得の過程や資格取得がきっかけとなって多くの知識を得たり知恵が出たりということで、資格を役立たせています。現在は品質管理や信頼性を学ぶことを目的に電気通信主任技術者資格に、そして国際法規と英会話を学ぶ目的で第1級総合無線通信士資格の勉強を開始しています。
    私は弱冠37歳であり、まだまだ何も分からない分際ですが、「学ぶことは本人次第。そして学ぶことに終わりはない。」ということが分かったような気がします。

    幾つになっても受験生であり続けるつもりです。(笑)
    皆さんのご健闘をお祈りいたします。


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