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40年ぶりの国試 ? 団塊世代の1アマ、2アマ受験体験記
団塊の世代氏
1.はじめに
私がアマチュア無線を始めたのは1966年(昭和41年)、高校1年の時
でした。当時入門クラスは電話級(現4級)と呼ばれておりましたが、国家試
験(国試)は現在のようなマークシート方式ではなく筆記試験でした。受験の
為広島まで行ったことをおぼろげに覚えておりますが、試験の内容については
全く記憶に残っておりません。その後約40年間、色々紆余曲折はありました
が細々と運用を続けてきました。さて、このたびふとしたことがきっかけで上
級クラスの試験に挑戦することになりました。
9月のある週末、ローカルのハムショツプで雑談をしていたところ、最近国
試の内容が大幅に変更されたという話を聞きました。早速自宅に帰ってインタ
ーネットで調べたところ、2005年12月期から1アマ、2アマの電気通信
術の試験が欧文普通語25字/分の受信に緩和されたことがわかりました。以
前より20mバンドで運用したいという希望はありましたが、上級ハムの試験
はモールスの試験が壁となりそうで何となく敬遠していました。このたびの緩
和により壁も低くなり思い切って受験の計画を立てました。2006年10月
初旬の頃です。ここでは、国試受験を計画し合否結果を受け取るまでの約3ヶ
月間の受験体験を書きました。
2. 受験勉強
2.1 工学、法規
モールスの試験は1アマも2アマも同じレベルですので、とりあえず両方に
挑戦してみようと考えインターネットを利用して試験の申請を行いました。同
時に受験計画をたて、勉強を始めることにしました。早速市販のテキストを調
べ、以下の2冊を購入しました。
テキスト1)2005/2006年版 解説・無線工学(野口幸雄 著、CQ出版社、
2005年12月1日発行)
テキスト2)新 第1級・第2級アマチュア無線技士用 上級ハムになる本
(丹羽一夫 編著、CQ出版社、2006年2月1日発行)
まず無線工学ですが、テキスト1)をノートに要点をまとめながら通読し
ました。法規に関してはテキスト2)を使いましたがこちらは最初から熟読
しました。一字一句注意しながら読みましたが、電波の型式の表示、占有周
波数帯幅の許容値、Q符号等は早めに暗記する必要があります。以上、工学、
法規の勉強に約1ヶ月を要しました。ちなみに、平日は1時間程度、土、日
は4〜5時間費やしました。
次に問題集で力試しです。使用したテキストは、
問題集1)第2級ハム アマチュア無線技士国家試験用 2006/2007
年版 国家試験問題集(野口幸雄 著、CQ出版社、2006年9
月1日発行)
これを約1週間かけて解きました。ノートに解答を書きながら、間違えたとこ
ろには印を付けておくと同時にテキスト1)、2)で再度正解を確認します。
同じようにして、
問題集2)第1級ハム アマチュア無線技士国家試験用 2006/2007
年版 国家試験問題集(野口幸雄 著、CQ出版社、2006年9
月1日発行)
の問題を解きました。これにも約1週間要しました。さて、2回目は、1回目
の演習問題で間違えたところのみを重点的に解いてみました。工学は特に問題
はありませんでしたが、法規は2度目も間違えた問題がかなりありました。
再度テキスト2)を読み返しました。
以上の勉強がすべて終了したのが11月の終わり頃です。この段階で200
6年8月期の1アマ、2アマの国試の問題をインターネットでダウンロードし
て解いてみたところ、工学、法規ともに90%以上の正解率でしたので、何と
かなりそうだとの感触を得ました。
国試まで未だ2週間程度ありましたので、問題集1、2)で2度間違えたとこ
ろを見直しました。さらにできる限り多くの問題に当たってみる方がよいと考
え、
テキスト3)アマチュア無線技士国家試験 第1級ハム教室(吉川忠久 著、
東京電気大学出版局、2005年5月20日発行)
問題集3)楽しくおぼえる 1アマ攻略(佐藤いずみ/大泉早智子 原案、
CQ出版社、2006年7月1日発行)
を購入し、これらの中に収録されている工学と、法規の問題をすべて解いてみ
ました。以上で準備完了です。
2.2 電気通信術
電気通信術の試験は簡単になったとはいえ、初心者にとってはなかなか大変
です。私はCQ出版社より発売されている以下のCDで練習しました。
CD 1)CQ MORSE CD No.1 モールス符号暗記用25字/分
欧文入門編
CD 2)CQ MORSE CD No.2 第1級・第2級アマチュア無
線技士用25字/分 モールス受験編
練習開始は10月のはじめで、まず、アルファベットと数字をCD 1)を
繰り返し聞くことにより覚えました。数字は国試では滅多に出題されないとの
情報もありましたが、実際のQSOでは数字は必ず使いますので必須です。蛇
足ですが、幾つかの記号("?"、","、"."等)も同時に暗記しました。受信
練習は1日30分程度、約1週間でこれらは完全にマスターできました。次に、
CD 2)で暗文、および欧文普通語の練習です。受信しながら書き取ってい
くわけですが、筆記の書体は最初大文字のブロック体を使いましたが、すぐに
小文字の筆記体に切り替えました。将来早いスピードでの受信においては後者
の方が有利と考えたからです。モールス符号の練習に際しての注意点がテキス
ト3)の最後の方に書いてありますので参考になります。
また最近の著書、
テキスト4)モールス・キーと電信の世界(魚留元章 著、CQ出版社、
2006年6月15日発行)
はモールスの歴史や練習法についての詳しい記述があります。これも大変有用
です。練習開始して1ヶ月で25字/分の受信が完全にできるようになりまし
た。CD 2)には30字/分の暗文、及び欧文普通語の練習問題も収録されて
いますが、これも完全に受信できるまでになりました。
CDは繰り返して聞いている内に文章を暗記するようになります。
これでは練習になりませんので、別の方法をとることにしました。インターネ
ットのWebサイトをサーチしたところJM4SMR局のホームページ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jm4smr/jm4smr.html
にモールスの練習サイトがあることに気づき、これを利用させて頂くことにし
ました。ここには旧3アマの問題とともに旧1アマ、及び旧2アマの練習問題
もありますが、私は主として旧3アマ、及び旧2アマの問題を使いました。
また、暗文練習にはCWTW-ProやCWTrainerなどのソフトを利用しました。
10月はじめに練習を開始して約2ヶ月経過した時点で旧2アマの問題は完全
に受信できるようになり、また旧1アマの60字/分の問題も90%程度は受
信できるようになりました。国試10日前の頃です。実際の試験は25字/分
で行われますのでこの時点から徐々にスピードを落として受信練習を行いまし
た。
その際、正確に書き取ることに特に重点を置きました。受信文の筆記は小文字
の筆記体で行っておりましたが、スピードがゆっくりですと文字をつづけて書
くのが幾分難しくなります。そこで国試では大文字のブロック体で書いた方が
よいのではないかとの迷いが生じ、これが受験当日まで解消されないで続くと
いう状態でした。これについては後の実際の試験のところで述べます。
いずにしましてもこれでモールス受信の準備はでき、受験に臨むことになりました。
3. いよいよ受験本番
3.1 1アマ
12月9日(土)は1アマの国試の日です。私は山口県在住で受験地は広島
です。早朝新幹線で広島に向かいました。受験場所はJR広島駅より徒歩で
10分程度の便利なところにあり、ここに着いたのが午前9時頃、法規の試験
開始時刻30分前です。広島会場では1アマの受験申請者は52名、実際の受
験者は35名程度でした。9時30分開始の法規は何らの問題もなく1時間程
度で解き終えましたが、2回ほど見直して会場を出ました。次は問題の通信術
です。試験開始時刻の10分前、10時30分に会場に入りましたが、驚いた
ことに受験者は私を含めたったの5名でした。試験の監督官は2名でしたが主
監督官により試験前に幾つかの注意事項がありました。特に、受信文の書体は
何を使ってもよいが、異なる書体を混ぜて使わないようにとの指示がありまし
た。また、本文送信終了後、5秒間の見直し時間が与えられるとの注意もあり
ました。試験では最初大きなラジカセからアルファベットのAからZまでが流
され、音量が適当かどうかの確認があります。MDが使われており、CDや
モールスの練習サイトで聞いたときの音質とは幾分異なるような感じがしまし
たが、音の反響はありませんでした。
さていよいよ本番です。最後まで迷った書体ですが、練習時と同じ小文字の筆
記体を使うことにしました。約2分間の受信時間でしたが、全くあっという間
でした。書き取りは完全にできたのですが、文章自体は半分程度しか記憶にあ
りません。実際覚えていた箇所はconclude … international … のみでした。
おそらく極度に緊張していた為だと思いますが、幾分不安要素を残しました。
軽い昼食をとり、午後1時からの無線工学の試験に臨みました。問題数は30
問で、過去出題された問題に類似したものが多く、特に難しい問題は無かった
ように思います。計算問題は8問でしたが、いずれも公式に当てはめれば直ち
に答えがでるようなものばかりでした。問題集2)の付録2には1アマの工学
に必要な公式がまとめてあります。これらを覚えておくだけで十分です。A−
14はセラミックフィルタに関するもので、過去問にはない新しい問題です。
なお、この問題の問題文に一カ所誤りがあったという訂正文が日本無線協会の
ホームページにのっていますが、解答には影響しないということで得点の調整
は行われていません。
自宅に帰ってインターネットをのぞいていたところ、JM4SMR局のホー
ムページに解答速報がすでにアップロードされていました。早速自己採点して
みたところ、工学150/150、法規115/125でした。
間違えた法規問題の内1問は完全なケアレスミス、残り1問はA−13の問題
のBで、備え付けを要する時計や業務書類に関するものです。 "一部"と"全部
又は一部"のいずれかを選択すればよいのですが、無線局で時計や業務書類等、
全部省略できるとは考えにくい為一部の方を選びましたが、これは誤りでした。
テキスト2)や3)で調べたところ同じ記述はありませんでした。またアマチ
ュア局用 電波法令抄録、2006年度版(CQ出版社、平成18年6月15
日発行)で調べたところ関連した記述は見つかりません。何となく納得できな
いところです。いずれにしても工学、法規とも合格点(得点率70%以上)を
クリアしていますが、電気通信術の自己採点はできませんし、先ほど述べまし
たように不安な点もありましたので、安全を期して翌日の2アマの試験も受け
ることにしました。実際、2アマに合格すれば1アマの電気通信術の試験は免
除となるからです。
3.2 2アマ
2アマの試験は12月10日(日)、試験場所も試験時間も同じです。受験
申請者は39名、実際の受験者は25名程度でした。要領は昨日の1アマの試
験でわかっていますので何ら不安はありません。問題は電気通信術のみです。
法規の試験終了後通信術の試験に臨みました。今回は大文字のブロック文字で
書き取りを行いました。しかしながら、試験終了後欧文の文章の3/4程度は
覚えていましたが完全ではありません。
記憶に残ったのは、 THE SOURCE AND … OF HARMFUL INTERFARENCES
で、…の部分は全く覚えていません。
しかし、1アマの試験の時よりもよい感触のあったことは確かです。従って、
午後の無線工学の試験には余裕を持って臨むことができました。
自宅に帰り、例のサイトの解答速報を見ながら自己採点したところ、工学
120/125、法規124/125で合格点をクリアしていました。工学の
A−15は特に印象に残りました。これは直線偏波の八木アンテナ2本を用
いて円偏波のアンテナを作る方法を問うもので、1アマ、2アマの過去問には
ない新しい問題のようです。幸い三角関数の知識があった為、電場ベクトルの
終点の軌跡が円周上にあるためには2つのアンテナを直角に配置し、位相を
90度ずらして各アンテナに給電すればよいことに気づき正解を得ました。
これは1アマの工学に出てもおかしくない問題だと思います。A−10のパケ
ット通信に関する問題も新しい問題のようですが、テキスト2)の191ペー
ジには似たような記述があります。日頃パケット通信を運用している方には常
識的な問題かもしれませんが、残念ながら間違えてしまいました。私が勉強し
たテキスト1)にはパケット通信に関する記述はありません。これから新傾向
の問題がどの程度出題されるか分かりませんが、万全を期して色々なテキスト
を参照しておくのがよいかもしれません。
4. 合格発表
1アマ、2アマ共に合格発表は12月下旬に行うという試験官の説明があり
ました。昨年の12月期の例から察するに、試験の約2週間後らしいという情
報も得ました。先ほどのJM4SMR局のWebサイトのBlogには国試に
関する色々な書き込みがあり、時々見ていました。この中のひとつから合格発
表日は12月25日(月)らしいということを知りました。私も日本無線協会
に直接電話して確かめたところ、左記の日に東京の協会本部より郵送で合否を
連絡するということでした。その間Blogで色々面白い情報を得ることがで
きました。その内のひとつに、電気通信術の試験問題はすべての試験会場で同
一ではないらしいというものがありました。確かに実際受験した人による書き
込みを見ますと、私が受けた広島での問題と全く異なる問題がでた試験会場も
あるようでした。もっとも試験場ごとに問題が異なるということでもないよう
です。試験時間が異なればこういうこともあってしかるべきですが、同じ日時
に行われる試験で、なぜこのようなことが行われているのか未だ疑問です。
さて、私のところに2通の合否通知のはがきが来たのは年末も押し迫った
12月28日(水)の午前中でした。シールをはがしてみると真ん中の蘭に1
アマ、2アマ共に合格の2文字を確認することができました。右の蘭には
"合格"おめでとうございます!と書いてありました。
工学、法規の点数はすでに自己採点で確認済みです。気になっていた電気通信
術については合格最低点の90点以上(100点満点)であることは確かです
が、実際何点であったかは定かではありません。モールスの練習は1日も欠か
さず行いましたし、その成果を知りたいと思うのは誰しも同じでしょう。
これに関しては試験結果の情報開示の制度があることを知っておりましたので、
広島の日本無線協会中国支部から申請用紙をFAXで送ってもらい得点の開示
の申請を行うことにしました。その際、各級ごとに300円の手数料が必要で
した。年末に郵送で開示申請を行ったところ、年明けの1月5日(金)に結果
が届きました。工学、法規は自己採点と同じ点数、電気通信術は1アマ、2ア
マのいずれも100点でした。以上が10月のはじめから年末までの受験体験
のてん末記です。
5. おわりに
近年アマチュア無線人口が急激に減少しつつあります。総務省の統計により
ますと2005年度末時点でのアマチュア無線従事者免許取得者数は約319
万人です(1アマ、2アマの総数はこの内の約3%)。
特に1993年頃からの上級ハム予備軍とでも言うべき3アマ、4アマの免許
取得者数の減少は著しいものがあります。実際に運用している人はこれよりは
るかに少ないと思われます。また、JARLの会員数も8万人を切ったようで
す。原因は多々ありますが、携帯電話やインターネットなどの情報伝達手段の
発達、子ども達の理科離れ(より一般的には科学離れ)などがその大きな要因
と考えられます。
一方、2007年度末からは、団塊の世代の大量退職が始まります。
ちなみに私もこの世代のひとりです。このなかには学生時代にハムの免許を取
ったが仕事が忙しくて満足のゆく運用ができなかったOMさんで、退職を契機
に再開局を計画されている方も多いのではないかと思います。上級ハムの免許
は電気通信術の試験が緩和され、それ以前と比較して取得が容易になりました。
ただし、簡単になったとは言え確実にマスターしておく必要はありますが、今回
の私の経験から、工学や法規の試験の難易度に関しては1アマも2アマも大差
は無いように感じました。過去問を中心に勉強すれば比較的短時間で合格圏内
に到達できると思います。ここに書きました体験記が、これから上級ハムを目
指す若い人たちや、再開局して定年後をエンジョイしてみようと考えておられ
る方々の何らかの参考になれば幸いです。
2007年1月7日
団塊の世代
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